彼女は「福祉」も「介護」も縁遠い場所にいた。
自宅のある関西で事務職の転職先を探していた。はじまりは、ただそれだけだった。
それまでの彼女が働くオフィスは、東京のビルの一角。
グレーのデスクと書棚に囲まれ、電話とパソコンの日々だったそうだ。
そんな彼女が面接に訪れたその日、明るく日が差し込む部屋とデイサービスのご利用者さまと手をつなぎエレベータに向かうスタッフの姿に
これまでの仕事では感じたことのない人のぬくもりを強く感じたそうだ。
千種会に入職を決めたのは、これからの成長を感じたこと、そして、「人間らしさ」を強く感じたからだったらしい。
不安がなかったといえばウソになる。本当は親にも少し反対されていた。
そんな彼女がこう言った。
「この業界には“人間らしさ=人間力”が必要になる。だって、相手は人間で、パソコンじゃない。人生の大先輩に敬意を払うことが求められる。
その人間力は、いろいろなところの根本になっていて、それが根になり、幹ができて枝になって、枝の先に葉が茂るように…私は以前よりも人間らしくなった。」と。
「目上の人を大切にすること。挨拶をきちんとすること。
社会のルールを守ること。相手を思いやること。当たり前のことなのに、以前の私にはできていなかった。千種会が私を変えた。」と。
そんな彼女は、いつもおいしそうに物を食べる。
そして、いつも瞳をキラキラさせながら、何かに感動しては泣いている。